YOUBOX from Micronesia vol.2

ビッグ・アウトドア・フューネラル!

「葬式いくわよっ」。こんな風に知らない人の葬式に誘われるのは新鮮だなーなんて思いつつ、迎えに来てくれたショーンの車に乗り込む。1時間くらいずんずんと車を走らせ、またもや山のなかにやってきたところで、かなりの人だかりが見えてきた。基本各家庭で葬儀は行われるのだけれど、亡くなった人のステータスによってその規模は変わってくる。今回はこの町でもとっても重要な年配の女性が亡くなったそうで、キングや酋長はじめ、ものっすごい数の人々が駆けつけていた。若い人の場合はさらっと式が行われるけれど、たくさんrespectされている長老たちの場合はとても盛大な葬式となり、これが4日続くという。
私が参加した初日は、大量のサカウ、ヤムイモ、ブタ、パンの実が運び込まれる。サカウはこの場で作られ、まわし飲まれていたが、やって来た豚たちはその場で捌かれ、調理はされずに各家族へ配分されます。今回は35頭ものブタが集まったそう。女性たちは歌ったり、配られるご飯を食べたりし(スリランカとタイのグリーンカレーの間のような味がするチキンカレーは少し食べ、「刺身」と言われて出された得体の知れないものは自粛。)、男性たちは血まみれ泥まみれになりながら体を張って動く。2日目は家族だけで静かに行われ、3日目はまた盛大に、今度は魚などを中心に持ち寄られる(この日、島から魚は消え、どのレストランやマーケットを探しても魚は無かった)。そして最終日はまた家族で。葬式は、一大イベントなのだ。

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デリーナのローカルフード

ミクロネシアでの伝統的な主食はタロイモやヤムイモ、そして50種類以上も存在すると言われているバナナ。ただ、最近は煮るのに30分は掛かるイモ類は、「時間がかかりすぎる」という理由で食べたくても家庭で調理する人はかなり少ないそう。日本統治時代に稲作を始めて以来、お米を食べる人が大変増えたけれど、現在は稲作をする人も居なくなり島で食べられているのは輸入米。メインのおかずだって缶詰やカップラーメンに取って代わろうとしている。
そんななか、数少ないローカルフードを作ってくれるという女性、デリーナの元にやってきました。今日は、タロイモとバナナ、魚を料理すると言う。
①タロイモとバナナ(今回使うのはクッキングバナナで、まだ緑の状態のもの)を剥き、水にさらす。
②ココナッツを削り、どろっとするまで煮詰めておく。
③火をおこす。乾燥させたココナッツの殻は、良質な着火材の役割を果たす。
④鍋にタロイモを入れて、その上にバナナをのせて、水をひたひたに入れ、バナナの葉をかぶせて煮る。
⑤その間、魚は直火であぶる。
⑥しっかりと火が通ったら、ココナッツミルクをかけて頂きます。(バナナの茎の先をつぶした物が刷毛となる)
タロイモは、堅さもあり、ちょっと粘りもあり、ほんのり甘くてとても好み。今回のバナナは、種類は忘れたけどこちらの方がイモっぽくて、plainな味でまあ、普通。デリーナの旦那さんは漁師だったらしく、彼女はポンペイでとれるほぼ全ての魚をクッキングしたことがあるという。魚の焼き加減は、ばっちり。それにしても、この開放的なアウトドアキッチン、いいなー。

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①ヌクオロ島のココナッツシロップ

ポンペイの離島であるヌクオロ島からやってきたというルースは、砂糖をあまり使わないという自然派ローカルフード志向。今回も、砂糖の代わりに使ったのは、現在ほぼヌクオロ島でしか生産されていない、ココナッツの実になる前のつぼみの状態のものから作ったあまーいシロップ。つぼみに管を刺して、少しずつとったエキスを煮詰めて作ったこのシロップはMolassesと呼ばれる。スリランカのキトゥルハニーに少し似た、黒糖や醤油のようなコクを併せ持った感じの甘みがある。
これを使って今回作るのは、タロイモをつかった2品。グラインドしたタロイモとつぶしたクッキングバナナを合わせ(タロイモの方が多め)、Molasses、ココナッツミルクとタピオカパウダーを入れて混ぜる。半分はバナナの葉で包み、蒸し(pihlohlo en mwahng)、あと半分はスプーンですくって揚げる(Pirain en mwang)。
今回はタロとバナナを同量入れたら揚げた方はいつもよりフライパンにくっついたらしく、本当はもっと綺麗に出来るんだけどね!と若干テンションが下がっていたw。でも、むちむちしていて、外はカリッとキャラメライズされていて私は揚げた物ののほうが好きだ。蒸した方は、バナナの葉の爽やかなグリーンな香りがついた、羊羹のような食感。どちらもとっても優しい自然な甘みでおいしい。

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若い実には、ココナッツウォーター

まだ実が若い時は、皆さんおなじみのココナッツウォーターを飲むことができます。茶色い皮を器用にはいで、上部をコンと穴あけて頂きます!そのままでももちろん 爽やかで美味しいけど、これで美味しいカクテル出来そうだなー。ちなみに内側には天然のナタデココがついている!

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葉は、籠になったり器になったり

ココナッツの葉は、器用に編んでかわいらしい器になり、そしてパパイヤを入れたりする籠にもなる。(パパイヤの実をつついて落として、おちてきたところをこの籠でキャッチしてた)。

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茶色くなって来たら、ココナッツミルク

実が熟して外側がモケモケしてきたら、中にはココナッツミルクがとれる白い塊がくっついている。ミクロネシアンたちは、またがってごりごりと削る式のココナッツ削り機で、あっと言う間に削ってしまう。(このタイプは結構腰が痛くなるので、あまりいい削り機とは言えない)そして、ハイビスカスの皮からとったファイバーをネットのように使い、ファイバーにくるんでぎゅっと搾るとココナッツミルクが搾れる。その搾った後のかすは、鶏などのえさになったり、ふと目を離した隙の子どもたちの遊び道具になったりしている。
こちらでは、大抵の料理にココナッツミルクが入っていると言っても過言じゃないほど、色んなものに使われている。

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もうちょっと熟すと、ココナッツオイルに

ココナッツオイル作りのエキスパートは、コスラエ島に住むミチコばあちゃんのお家の隣に住む○○さん。ミチコばあちゃんたちは、「彼女はダウン症というスペシャルな特徴をもっているんだ」と、愛情を込めて紹介してくれた。○○さんは英語が話せないんだけれど、オイルの作り方にもこだわりがあり、少しずつ教えてもらうことに。
①まず、ココナッツは、先端からなにか飛び出したような状態になったものを使う。(写真右)この状態になったものは、中は水分ではなく、しゃくしゃくとした食感の固い淡雪のような物が詰まっている。ちなみに、この中身でシャーベットを作るそう(食べてみるとナチュラルな甘みがある)
②中身を抜いて、ココナッツを削る。
③ココナッツミルクを搾り、強火にかける。
④あまり頻繁にかき回さないようにしながら、煮続ける。
⑤分離したところで火を弱め、香り付けにリコリスの花をばさっと入れる。(香りを付けるのはボディ用で、クッキング用には入れない)
⑥濾してできあがり。
他にも、オイルをプレスして出す方法もあるようですが、ミクロネシアではこれがスタンダード。

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ココナッツミルクを削った後の殻というか皮は、驚くほど良い着火材となる。これがあれば、私もバーベキューで火をつけられるはずだ。

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木の表面のカビのような物

木の表面についた少し青みがかったカビのようなものは、つくりたてのオイルに削っていれると、防腐剤の役割を果たすという。ケニェさんは、「この粉が欲しくてわざわざとりに来る人も居るのよ」と教えてくれた。

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