YOUBOX FROM GEORGIA VOL.1

Georgia

ここ最近のYOU BOX を振り返ると、朝に飲まれる緑のおかゆを巡り訪れたスリランカでは、アーユルヴェーダなどの“知恵が詰まった美味しさ”に出会った。コスラエスープを求めて訪れ、主に火起こしを習ったミクロネシアでは、“プリミティブな美味しさ”に。そして、本当にこだわった生産者と、誰もが美味しいと思うようなプロダクトに出会えたスペインでは、“洗練された美味しさ”……。さて、今回はどんな美味しさに出会えるのだろう。今回の目的地は、世界をたくさん旅して美味しいものを食べている人が、「ジョージアの料理がとにかく美味しい」と言っていたことや、最近飲んだアンバー色のジョージアワインが面白い味をしていたので、ジョージアに決めた。相変わらず、国を決めてから2週間後の出発と、ドタパダノープラン10 日間の旅がスタートした。

仲良し親子のベジタリアンキッチン

今回の初日の宿は、トビリシで初めてベジタリアンフードのデリバリーサービスをスタートさせた親子、EkaさんとLeelaママのおうち。現在は広告系の仕事についている傍ら、ヨガのインストラクターとフードデリバリーサービスを行う多忙なEkaさんは、中学生のある日からベジタリアンになると決め、それをサポートするように料理上手なLeelaママが、ベジタリアン料理を作るようになったのだとか。ジョージアのご飯は、超肉々しいBBQやらお肉がごろりと入ったスープなど、肉気が多い印象だが、ジョージア正教会の敬虔な教徒は、1年のうちに何週間か肉を避ける期間があるのだと言う。ジョージア正教会がマジョリティーのわりに外食にベジタリアンチョイスが少なく、Ekaさん自身も困ったと経験から、サービスを立ち上げたのだ。
小さなガーデンを囲むようにして立つ彼女たちの家には、おばあちゃんの代から色んな人が泊まりに来ていたようで泊まった画家が壁に絵を残して去っていたり、ハンドメイドの素敵な置き土産があるなど、人の交流の歴史が息づいていて温かい。元々ダンサーであり、ArtSchoolに通っていたというLeelaママは、料理とアクセサリー作りが得意。「ジョージアには、Artの才能を持った人がなぜか多いのよ」と教えてくれるEkaさんも、写真と絵とヨガで表現を磨いているよう。昔からたくさんの人たちに料理を振る舞ってきたというEkaさんのお家で、緑のボルシチや、もう何十年も同じ農家さんから買っているヨーグルト(マツォーニ)でつくるおかゆを習えることに。
材料の買い出しに行くというLeelaママに着いて行くと、道の至る所に大きな穴があいていたり、軍用車が工事用の車として止まっていたりする。治安は良いから、もし何かあるとしたらこのドライバーたちのクレイジーな運転による交通事故だろう。ロシア語しか話さないLeelaママに連れていってもらったのは、ハーブやチーズ、味の想像できないソース類が並ぶ小さなお店。匂いや味でわかるものもあるけれど、初めて見るスパイスとかジェスチャー(何気ないジェスチャーには文化が反映されると思う)から想像するのは、なかなか限界がある。どんな国でも同じようなことを考える人に会える自信があった私も、やはり言語はその期間を格段に短くしてくれる便利なツールだったと思わざるを得ない。と思いながら町を散策し、材料を購入する。そして、いよいよお料理開始。
①Green borsch:作り方は、ポテトをカットして(このポテトの切り方はお国柄がでる!)、柔らかくなるまで茹でる。そして、グラインドしたエストラゴン、ソレル、ネギ、パセリを入れてほんの少しだけ火を入れ(ハーブたちのフレッシュな風味を楽しむのだ)、塩で味を整える。仕上げに崩したゆで卵とフェタチーズ、サワークリームをのせてできあがり。この「ソレル」は、初めてだったけど、食べてみるときゅーんとすっぱい。「なんか昔犬の散歩の時に犬と一緒に食べた田んぼの端に生えている草の味に似てるなー」と密かに思ってたら、日本のイタドリのことだったのね。私が知ってるのと形が違ったからわからなかったけど、道理で! 納得! ところでお味は、ハーブが華やかだけれど、インパクトも強すぎず大変美味。
②Matsoni Soup:マツォーニのおかゆは、まず米を鍋で茹でます。別のフライパンにバターを敷いて角切りにしたオニオンを炒め、小麦粉を入れて色を付けないように炒める。そして、お米を茹でている鍋に投入。そこに卵黄とマツォーニを混ぜたものを入れて、お米が柔らかくなったら刻んだニンニクとパクチーを入れて出来上がり。仕上げにチリを入れたりコリアンダー(パウダー)をいれたりすることも。『Village Soup』と呼ばれるほど、なにもない田舎でも常に食べられるというようなスープだそう。
しかし、どの国に行ってもおかゆに出会うから、やっぱりYOU BOXの行く末は世界のおかゆ屋さんだろうか。

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バフタングさんのおうちワイン

実はジョージアはワイン発祥の地であり、その歴史は約8000年まで遡ると言われています。2003年に世界遺産に登録された最古のワイン醸造法は、土の中に埋めてあるQvevriという卵形の粘土製の壷で、皮も種なども一緒に入れて自然発酵をさせるというもの。ブドウの品種もなんと500種類以上がジョージアに存在するのだそう。(ちなみに世界にあるワインぶどうは約5000種と言われている)
トビリシにいながらワインのことが知りたいと思っていたら、バフタングさんという方が詳しいと聞きお会いできることに。「分かることなら教えるから何でも聞いて、でも、実際僕は自分で作ったワインしか飲まないけどね~」なんていうから、トビリシの中心から車で20分ほど行ったところにあるバフタングさんの秘密基地に案内してもらった。そこにあった石造りの倉庫の扉を開くと、フレッシュで、でも発酵中のなんだか詰まったような特有の香りにもわっと包まれる。その日は、ちょうど赤ワインを仕込んで2週間経ったところ。「it’s almost ready」だというそのワインを一口飲ましてもらう。まだワインになりきってないけど、さらっとしたなかにも皮のきゅんとした渋みやぷちぷちとした感じが広がる。ジョージアでは、皮や枝も全部一緒に漬け込んでワインをつくるから、白ワインも美しい琥珀色になる。ミリタリーを終えてからおじいさんの畑を引き継いで、蔵の近くに居を映しワイン作りをはじめたというバフタングさん。イベントやお祝い事のときに家族や友人と飲むために、毎年700Lほどを仕込むそう。2003年からスタートした彼のワインづくり、最近は彼の息子と孫も手伝っている。クオリティの話ももちろんあるけれど、自分の家族と、自分の友人たちのためだけを考えて美味しくなるようつくったワインなんて、そりゃ美味しいに決まってるじゃないか。その後、いくつかのお家で土間に埋められたQvevriのな
かで、庭に無造作になるブドウを使って作られるワインにもたくさん出会ったけど、やっぱりこれらが一番美味しかった。ワインも昔は、どぶろくみたいに色んな家庭で作られていたんだろうな。

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