YOUBOX from Sri Lanka vol.1

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スリランカの人は、朝食に「緑のおかゆ」を食べるらしい。そんな謎の情報をもとに、緑のおかゆを食べるためだけに訪れたスリランカ。おばあちゃんのレシピ、朝7時から8時にだけ現れるポップアップショップ、伝説の料理人がいるというホテルの朝食、ありとあらゆるタイプの「緑のおかゆ」を試す過程で出会った人やもの、暮らし。今回は”It’s all about Green thing”です。

ハレハレ・スリランカ

私が新しい場所に行くときは、どんな人たちが暮らしていてどんな匂いがするのか、なんのイメージだって湧いていない。人口約2000万人、インドの南東に位置するスリランカの場合、街を歩いてちょっと人と触れ合いピンときた。 どうやら、 この国の人たちは、やたらとにやついているということに!目が合ってこっちがにやっとしようものなら、倍以上のにやっで、返してくれる。それに気づいた瞬間、私とスリランカとの距離は、急速に近づいた。それなのに、何度か明らかに「オッケー」みたいな顔つきで、だめだと首を振られる場面に出くわす。しかも、「ハレハレ」と言いながら。え、どっち?と戸惑ったものの、それが2、3回続くと理解した。どうやらこれは、彼らのオッケーなのだと。よく見ると、首の振り方には2種類あり、 横に振るのはノー。首を傾げるように左右に頭を倒す(視線はその人を見つめ、口はにやっ)がイエス。大変紛らわしいのが難点だけれど、今や私がスリランカの人たちを思い浮かべるとき、イメージのなかの彼らはいつだってキュートにハレハレしているのだ。

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ジャンクなミルクティー

こちらでティーと言えば、確認するまでも無くミルクティーが出てくる。それも、虫歯確実な、ジャンクな甘さのもの。暑い気候も相俟ってか、なんだかとってもあとをひく。ポイントは、日本で見慣れた茶葉よりも粒子が細かく、エスプレッソのように濃く抽出されること。そして、粉ミルクと砂糖を茶葉の倍以上入れぐるぐると混ぜ、どぼどぼどぼーーーーっと高い位置からお茶をそそいで混ぜ合わせる行為。それにより紅茶が空気を含み、ちょうど良い温度で提供されるので、口当たりが抜群になるのだ。そして私は紅茶工場に立ち寄り、見学させてもらう。①暖かい空気を送り、茶葉をしなっとしおれさせさせる。ここでは、葉の香りとちょっぴり芳醇な花のような香り。②もむ。ここで、組織や細胞を破壊、酸化発酵が始まる。ここは、コールドプレスのグラッシーなオリーブオイルのような、ムギッとしたあおーーーい香り。③ふるい分け、発酵。香りにちょっと果実っぽい甘みが加わる。④乾燥。温かな部屋でむわっと一気にビターな紅茶の香りへ。匂いフェチにはたまらない、めくるめく香りの変化。ちなみに、日本等に輸出される一番大きな葉は「オレンジペコ」と呼ばれる高級なもの。「地元では、見ないし買えないのよ」。そして、彼らが飲んでいたさらさらな茶葉は「ダスト」と呼ばれるランクの低いもの。ダストは逆に、日本ではほぼ買えない。クイッとエスプレッソのように濃いジャンクなティーは、どうやらここで飲むしかないようだ。

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WHAT’S KOLA KENDA?

どうやら緑のおかゆの正式名称は、「コラキャンダ」って名前らしい。キャンダがおかゆなので、色んな種類のキャンダはあるものの、メインキャラはやっぱり「コラキャンダ」。地元の人曰く健康にとても良いらしいのだけれど、記憶力まで良くなると言う人もいる。基本の作り方は、おかゆをつくる要領でぐつぐつと煮た赤米やジャスミンライス(ほんの少量でOK)を、緑色のハーブや葉を入れてすりつぶして絞ったいわゆる青汁とココナッツミルクを合わせて煮て、(煮立たせない)塩で味を整えたら完成。ジャグリというKithul Honeyを固めた黒糖のようなものをかじりながら飲むのがスリランカ流。

Metthaさんのコラキャンダ

最初に出会ったのは、大都市コロンボの7区、ハイソなエリアに住む気品のある女性・Mettha。結婚したら女性は家で家事、という精神が根付いているスリランカにおいて、当時にしては珍しいキャリアウーマン。英語も堪能で、会社を辞めてからも15年ほど民宿業をしていたのだと言う。コラキャンダ探しの話をすると、早速次の日に作ってくれることに。庭に生えているゴトゥコラを採って来てココナッツをグラインド。フレッシュな素材のみ使用するためか、なんだかとってもコクがある。ゴトゥコラは、味の強い三つ葉やドクダミのような、野草の味。色々試したけど、癖のある葉ものが合うみたい。

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Mettha一家の家と暮らし

Mettha の住む家の上の階には息子夫婦が住んでいて、お隣の家には娘一家が住んでいる。覗いてみると、お家が素敵すぎて一瞬で虜に。どうやら上の階の息子が建築家で、彼がデザインしたお家だという。天井が高く、光がうまく差し込むように計算され、木の温もりにも溢れている。人が集まることで、心地よさが増す空間。案の定、お昼時になるとご近所さんが「ここは、何食べてるかなーと思って」なんてやってきて、なんでもない話に花を咲かせて帰る。建築家がいたり NPO 向けのリサーチャーがいたり、まだ若いのに既にリタイアした人がいたり。「昔は Mettha の家が集合場所だったけど、
今それが世代交代して娘の家に変わったんだ」とひとりの友人は言う。何かしらエキストラが用意されていて、開かれたお家は、代々受け継がれているよう。ちなみに、このお家を設計した息子は2年に1度発表されるスリランカを代表する世界的に有名な建築家・ジェフリーバワのアワード(つまり最も栄誉ある章)を今年受賞したのだそう。お互いをリスペクトしあい、愛情溢れる柔らかなコミュニティに触れ、なんだか幸せになったのだ。

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